陳情第5号
核も戦争もない平和な二十一世紀を求める要望書
【要望理由】
世界ではいまだ新型コロナウイルス(COVID−19)感染症拡大の脅威が続くなか、私たちの文明社会はいかに脆弱な状態にあるか改めて認識させられました。新たな生活様式、社会・行動・共存が求められていること、また近年の地球規模の環境変化による自然災害など、地球規模の課題として世界中で構想していくことが必要です。
広島・長崎を襲った悲劇から77年、世界には今もなお13,000発以上の核兵器が存在していますが、2022年2月24日、ロシアがウクライナへの軍事侵攻に踏み切りました。また2022年1月3日に露米英仏中の五か国で「核戦争の予防とさらなる核兵器の追求の放棄」「核戦争に勝者はなく、決して戦われてはならない」を誓った初の共同声明を発出しているなかロシアは、原発や研究炉、放射性廃棄物管理施設などへ占拠や攻撃を実行しています。
一方、2022年6月21日から23日、オーストリアのウィーンで初めて核兵器禁止条約の締約国会議が開催されました。「核なき世界」の実現を国際社会に呼びかける「ウィーン宣言」と核兵器廃絶に向けた具体的な取組をまとめた「ウィーン行動」を採択しました。しかしながら、日本はアメリカへの配慮として締約国会議には参加せず、核兵器廃絶を願う世界の人々を落胆させてしまいました。唯一の戦争被爆国である日本こそが、先頭に立って世界に訴えなければならず、核兵器保有国と非保有国をつなぐ「橋渡し」をすることが世界からみて問われています。
私たちはあの悲惨な戦争の事実を忘れることなく、二度と戦争への道を繰り返さないため、そして二度と原子力事故による放射能被害を起こさせないため、核に頼らない社会に向けて運動を展開してまいります。
被爆地である広島・平和公園に灯る火を手に、多くの青年・女性・学生のランナーによって走り継ぎながら県内各自治体をまわり、平和の尊さを訴える「反核・平和の火リレー」運動は、今年で35回目を迎えます。今年も新型コロナウイルス感染症拡大防止に鑑み要請行動のみとしましたが、私たちの運動目的の一つでもある「県内全自治体での非核平和宣言」は、この35年間で12自治体から61自治体(平和宣言等も含む全64自治体中・2022年当実行委員会調べ)へと拡大してきております。私たちは、平和憲法を守り、再び戦争への道を歩まないために、そして原子力に頼らない社会の実現に向けて、今年も反核・平和を訴えるこの運動を成功させたいと考えております。
つきましては、この「反核・平和の火リレー」運動の趣旨をご理解いただくと共に、核も戦争もない平和な二十一世紀を目指すために、下記の事項につきまして御協力いただきますよう、心からお願い申し上げます。
記
【要望事項】
1.「非核・平和都市宣言(決議)」実施自治体として、平和行政諸施策の推進に向けて努力していただきたい。
2.国の基本方針である「非核三原則」を遵守する観点から、核兵器禁止条約の批准をはじめ、核兵器廃絶に向けて努力することを、国に要請していただきたい。
3.国家補償の精神にもとづく「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」のさらなる充実・改善を実施するため、政府への働きかけを行っていただきたい。
4.世界恒久平和を実現する観点から平和首長会議の「PXビジョン(持続可能な世界に向けた平和的な変革のためのビジョン 都市による軍縮と人類共通の安全保障に向けた平和構築)」の実現に向け努力していただきたい。
5.戦争の惨禍を再び繰り返さないために、集団自衛権の行使に反対し、憲法を暮らしに生かした平和行政を一層発展させていただきたい。
6.危険な原発に頼らない安全で再生可能なエネルギー社会を目指していただきたい。
以上、要望いたします。